ぼくは乏精子症とわかってから、とにかく情報が欲しいと思って、ツイッターで情報収集していますが、同じように男性不妊で悩んでいる夫婦がこんなにいるんだなぁと、びっくりしました。
でも、男性で不妊についてつぶやいている人は少ないです。また、ぼくは精索静脈瘤だったので、そのことについての情報が欲しかったのですが、手術についての体験談やその後の経過についてを発信している人は見つけられませんでした。
手術前は「ホントに良くなるのだろうか?」という悩みにつきませんでしたし、手術後の今では「ほかの人の経過はどうなっているのだろう?比較したい!」と思っています。
ですので、ぼくの経験を、同じように悩んでいる人、精索静脈瘤の手術を受けて他者の結果が気になっている人に是非読んでいただきたいです。
精索静脈瘤手術後の経過公開!
重度の乏精子症のぼくは、精索静脈瘤が発覚し、2018年10月10日に手術しました。その後、1ヶ月おきに精液検査を行い、3ヶ月間経過をみてきました。
結論から言うと、濃度は一時的に改善しました(それでも自然妊娠は難しい)が、3ヶ月目の検査で術前の数値となり、改善はみられませんでした。一方の精子の運動率は、向上を続けており、直進率もかなり良くなっており、精子の状態は良くなってきているといえます。
したがって、精索静脈瘤の手術の成果としては、ARTでしか妊娠の可能性がなかった状態から人工授精で妊娠する可能性がある状態へになったと受け取っています。
2018年7月に不妊の検査を行ってから、2019年1月までの精液検査による精子数の結果はグラフの通りです。
グラフからわかる通り、術後1ヶ月で急激に総精子数が増加しており、2ヶ月目までキープしていますが、3ヶ月目で術前の水準まで落ち込んでいます。
精液検査の詳細は以下の表をご覧ください。
婦人科クリニック | 男性不妊クリニック | ||||||
検査日 | 2018/07/23 | 2018/08/20 | 2018/08/29 | 2018/09/22 | 2018/11/10 | 2018/12/08 | 2019/01/08 |
精液量(ml) | 4.2 | 4 | 5 | 4.7 | 4.5 | 3.8 | 4.1 |
精子濃度(/ml) | 8,000,000 | 10,000,000 | 2,000,000 | 8,000,000 | 24,000,000 | 24,000,000 | 6,000,000 |
総精子数 | 33,600,000 | 40,000,000 | 10,000,000 | 37,600,000 | 108,000,000 | 91,200,000 | 24,600,000 |
精子運動率(%) | 25% | 80% | 52% | 48% | 35% | 46% | 53% |
運動精子数 | 8,400,000 | 32,000,000 | 5,200,000 | 18,048,000 | 37,800,000 | 41,952,000 | 13,038,000 |
高速直進運動率(%) | 15% | 70% | |||||
精子正常形態率(%) | 26% | 19% | 19% | 18% | 27% | ||
精子生存率(%) | 82% | 77% | 77% | ||||
禁欲期間(日) | 5 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 |
2018年7月~8月は婦人科クリニックで検査を受け、乏精子症と診断されて、福岡にある男性不妊専門クリニックの「天神つじクリニック」を紹介されました。
なので、8月29日以降は「天神つじクリニック」での検査のため、検査項目が変わっています。
また、精索静脈瘤の手術を2018年10月10日に行いました。11月10日以降の数値が術後の検査結果となります。
妊娠にするために重要な項目は総運動精子数と精子の質です。
総運動精子数
精索静脈瘤の手術で一旦は総運動精子数が向上したものの、3ヶ月後の検査では術前の値まで低下しており、改善したとは判断できない状態です。
総運動精子数は精液量、精子濃度、運動率で算出することができます。僕の場合は、精液量は比較的安定している為、濃度と運動率が重要な要素となります。
その為、ここからは精子濃度と運動率に注目して解説します。
精子濃度
精子濃度は精索静脈瘤の手術後、2ヶ月は2400万/mlとそこそこの数値を出せています。11月10日の検査では、総精子数が1億を超えていますので、自然妊娠の可能性も有り得る数値まで改善しました。
しかし、術後3ヶ月経った1月8日の検査では、精子濃度が600万/mlと手術前の水準となっています。たまたま体調が悪く数値が良くなかった可能性もありますが、特に体調に異常はなく、生活習慣も変わっていないため、ここまで数値が下がる原因が見当たりません。
担当医からも、風邪など引いていなかったかを確認されました。
精子運動率
精子濃度については、術後についても大きな改善はみられません。
しかしながら、術後は順調に右肩上がりを続けています。精子のライフサイクルが3ヶ月程といわれているので、精索静脈瘤により温められて弱っていく精子は少なくなっているのかもしれません。
精子の質について
妊娠にかかわる精子の重要なファクターとして、精子の質があります。精子の質は術後3ヶ月間順調に良くなっています。
精子の質を判断する上でのポイントは3つです。
- まっすぐ進んでいるか ⇒ 検査方法:SWAT
- 形のおかしな精子が多くないか ⇒ 検査方法:KT/HOST
- 元気に良く動く精子がどれだけいるか ⇒検査方法:SUT
これらは通常の精液検査ではわからないため、より詳しくわかる4つの精子機能精密検査をおこないます。検査方法は以下の4つです。
- SWAT…精子が15分、30分でそれぞれ何mm進むのか。基準値は15分で10㎜、30分で16㎜以上。
- SUT…スイムアップ法による検査。元気な精子のみを集めた状態。人工授精で使う状態の精子。運動精子数が500万が人工授精可能な最低ラインで、担当医としては1000万は欲しいとのこと。
- KT/HOST…良い形の精子の割合。KT法は14%以上で正常。HOST法は50%以上で正常。
検査結果は以下の通りです。
検査日 | 2018/09/22 | 2018/11/10 | 2018/12/08 | 2019/01/08 | |
SWAT
|
15分(mm) | 6 | 8 | 16 | 17 |
30分(mm) | 10 | 13 | |||
SUT
|
濃度(/ml) | 2,000,000 | 10,000,000 | 8,000,000 | 2,000,000 |
運動率(%) | 61% | 62% | 76% | 91% | |
運動精子濃度(/ml) | 1,220,000 | 6,200,000 | 6,080,000 | 1,820,000 | |
運動精子数 | 5,734,000 | 27,900,000 | 23,104,000 | 7,462,000 | |
KT | (%) | 23% | 22% | 22% | 31% |
HOST | (%) | 70% | 64% | 71% | 74% |
KT/HOSTの数値については、術前から問題ない数値でしたので、担当医から気にしなくてよいと言われました。
注目はSWATです。術後1ヶ月までは基準値に届いていませんが、2ヶ月目以降基準値を超え、直進性が順調に改善しています。
また、人工授精にかかわるSUTの結果については、濃度が一般検査と同様3ヶ月目で術前まで下がりましたが、運動率は大きく改善しており、妊娠への可能性は高まっていると判断できます。
今後の不妊治療の方針
精索静脈瘤の手術から3ヶ月間、精子の状態を検査してきた結果として、精子濃度は改善しているとはいえないが、精子の質は良くなってきているといえそうです。担当医から人工授精に挑戦しても良いのではないかと言っていただけました。
3ヶ月目の検査がたまたま良くない結果になっただけの可能性もありますが、少しでも数値をよくする為に、漢方とビタミン剤をすすめられました。しかし、効果が表れるまでに3ヶ月ほどかかります。
不妊治療は時間との戦いです。妻の年齢が35歳を超えると、妊娠/出産率が低下し、流産率が上昇します。できれば子どもは2人欲しいのですが、妻は今年で31歳になるため、焦ります。
妻と相談して、漢方を試しつつ、人工授精に挑戦することにしました。婦人科の担当医がかなり保守的で、人工授精をすることになかなか首を縦に振りませんでしたが、そこは押し通しました。
いきなり体外受精でも良かったのですが、妻の体への負担も大きいし、上手くいかなかったときのリスクが精神的に大きい為、先ずは人工授精をし段階的にステップアップすることを選びました。
2019年2月に1回目の人工授精を行う予定です。
おわりに
ブログに不妊症のことを書き始めた当初は、僕の不妊症が改善していく様子を書いていけば、同じように不妊症で悩む男性の希望になれるのでないかと、そんな風になれたらいいなと思っていました。
特に精索静脈瘤の手術を受けて、1ヶ月後の検査では精液濃度が2400万/mlと大幅に改善し、手術を受ける重要性を伝えていきたいとも思いました。
今でもその気持ちは変わりませんが、今回3ヶ月後の検査結果をみて、そう上手くはいかないなぁと痛感しました。生活習慣やDNA、身体的特徴など影響する要素が多く複雑なんですよね。
だからこそ、今後も不妊治療の経過について発信していきます。
僕が男性不妊の治療をしていて、一番悩んでいることは、数値を比較できる人が全くいないということです。担当医から数値についての説明を受けますが、WHOの基準値なんて「この数値で妊娠した人もいるよ!」みたいな数値だし、担当医もあいまいで断定的なことは言わないしで、結局自分がどういう状態にいるのかわかりません。
妊娠は無理なのはわかったから、知りたいのは妊娠までの距離なんですよね。
その距離を確認するために、比較できる対象が欲しいんです。個人差があるのはわかっていますので、精子濃度1000万/mlで妊娠できた人もいれば、1億/mlあってもできない人もいると思います。自分がどっちかなんてわかりませんし、比べたところで気休めにしかならないこともわかっていますが、実体験を読むことができれば、良い結果であれば希望が持てますし、結果が出なくても参考にすることができます。
くれぐれも精索静脈瘤の手術受けるの止めようなんて思わないでくださいね。僕の精子濃度は改善していませんが、ARTしか可能性のないところから、人工授精でも可能性のある状態にまで改善しています。精索静脈瘤手術の有効性を証明する論文は多数ありますので受けるべきと僕は思います。
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